プロフィール
ユマニテさが
ユマニテさが
佐賀市白山二丁目7-1
エスプラッツ2F
TEL:0952-22-7340
FAX:0952-22-7346
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 24人
ユマニテさがへ
アクセスカウンタ
QRコード
QRCODE
お知らせ
※カテゴリー別のRSSです
新規投稿

新規投稿するにはログインする必要があります。会員IDをお持ちでない方はIDを取得された後に投稿できるようになります。

シエマの日々 その125「恐竜が教えてくれたこと」

2020年05月25日

 ユマニテ 伊豆 at 17:34  | タウンマネージャー日記



映画館の自粛が解け、久しぶりにシエマに。
土日、土日で計4本の映画を見て、どれもすごーく面白かったのですが、
一番後味のよかったオランダ映画の「恐竜が教えてくれたこと」を紹介します。

原作は「ぼくとテスの秘密の7日間」という児童文学の名作。数年前の青少年読書感想文全国コンクール、小学校高学年の課題図書にもなりました。

オランダの北の島に、家族で1週間のバカンスに訪れた11歳の少年のひと夏の体験。
島に住む母親と二人暮らしのテスという風変わりで魅力的な女の子と知り合います。

テスは母親には内緒で、母親が副業で経営している島のコテージに、抽選で当たったと嘘をついて、あるカップルを招待します。そしてそのカップルの男性が自分の父親だと・・・。

人生の重いテーマを扱いながら、島の自然や、11歳の少年と12歳の少女の甘酸っぱい関係や、家族の繋がりや、島の人々の善良さや、とにかく柔らかいタッチの作品に仕上げていますので、映画が終わったときにとても穏やかでやさしい気持ちになれます。

シエマは、上演時間の間の時間を長くとったり、外気がはいるようにしたり、感染防止に取り組んでいますので、安心してお越しください。
少しずつ日常取り戻していきましょう。
  

シエマの日々 その124「ダンガル きっと、つよくなる」

2018年06月11日

 ユマニテ 伊豆 at 17:16  | タウンマネージャー日記



ぜったい見なきゃ損、という映画に出会ってしまいました。
「ダンガル きっと、つよくなる」というインド映画です。
予告編から期待していましたが、予想を大幅に裏切る作品でした。
インドのレスリング国内チャンピオンまで上った男が貧乏ゆえにそれ以上レスリングを続けることができなくなり、子どもたちに夢を継がせようとします。しかし、生まれてくる子は女の子ばかり4人。しかしある日、長女と次女は、近所の男の子と喧嘩をし、ボコボコにしてしまいます。そこで姉妹に格闘家の才能を見出した父親はレスリングをさせることを思いつき……。
 この映画は、いわゆるスポ根ものとはわけが違います。女性蔑視が強く、子どもを産む道具としてしか見ない風潮が拭えないインドという国の状況を背景に、様々な困難を父と娘たちは突破していきます。
 とても感動的で勇気が湧いてくる映画です。恥ずかしながら白状しますが、何度もウルウルしてしまいました。
 主演の父親役は、「きっと、うまくいく」の国民的大スター、アーミル・カーンです。姉妹を演じるのは子供時代の2人と大きくなってからの2人の4人ですが、厳正なオーディションで選ばれており、激しいレスリングシーンもこの4人が演じています。
 上映は21日までです。
 何とか、都合をつけて、皆さん、ぜったい見てください。面白いです。
  

シエマの日々 その123「あなたの旅立ち、綴ります」

2018年05月14日

 ユマニテ 伊豆 at 14:20  | タウンマネージャー日記


今年に入って50本以上の映画をみましたが、この「あなたの旅立ち、綴ります」は、私の本年ベストワンです。原題は「The Last Word」。邦訳が悪すぎて損してるよね。まったく。
物語は、人生の終末を迎えつつある老婦人が訃報記者へ最高のおくやみ欄を作るように依頼します。すべてを思うがままに生き、人生の勝者として裕福な老後を送っている老婦人ですが、記事を書こうと取材を進めていくと、周囲から徹底的に嫌われていて、故人を褒めたたえる記事を書くための材料がまったく収集できない始末。そこでいい記事が書けるように老夫人は様々な行動を起こします……。
ストーリーも素晴らしい展開を見せますし、ストリーを構成する一つ一つの小さな物語が丁寧に作られていて引き込まれます。セリフ回しも説明的でなく一言一言が胸に響いてきます。
老婦人を演じるのが、シャーリー・マクレーン。記者役がアマンダ・セイフライド。シャリー・マクレーンは今年84歳ですが、ほんとにすごい女優ですね。「アパートの鍵貸します」や「愛と喝采の日々」など強烈な印象を残した名優ですが、改めて胸を突かれました。ジジババが人生を振り返るもよし、若い人はきっと人生に希望が持てます。必ず見てください。5月24日までです。
  

シエマの日々 その122「野球部員、演劇の舞台に立つ!」

2018年03月26日

 ユマニテ 伊豆 at 16:18  | タウンマネージャー日記
シエマの日々 その122「野球部員、演劇の舞台に立つ!」




外国映画のみならず邦画でもけっこうドギツイ作品が氾濫している中、たまには、こんなさわやかな青春映画もいいな、と思える作品。
舞台は福岡県八女市。八女で高校教師をしていた竹島由美子さんの10年間の実録を基にした小説の映画化。甲子園を目指していた八女北高校が秋の予選で予想外の敗戦。落胆し敗戦責任を巡って葛藤するナイン。そこに男子部員が少なくて困っていた演劇部の先生(宮崎美子=モデルは原作者の竹島由美子さん)から野球部の3人に助っ人の依頼。「野球だけの人間になるな」という指導理念を持っていた野球部監督からも演劇部の手伝いをするように指示が・・・。
いやいやながら始めた舞台の稽古を続ける中で、野球部部員たち、そして受入れに複雑な反応を見せていた演劇部員にも変化が・・・。
同質な者同士が群れたがり、他者を排除する傾向の強い現在の若者たち。そうした中、この映画は、野球部と演劇部という異質な者のぶつかり合いが、劇的とも言える成長をもたらす感動的なドラマです。八女北高校という架空の高校を舞台にしていますが、実際は西日本短期大学付属高校が舞台です。
原作者の竹島由美子さんから話を聞くことができましたが、脚本を10回ほど書き直してもらったそうです。最初のプランは親子の関係を一つの軸にするものだったが、親も先生も存在感を消すというのが竹島さんの希望。実際、生徒を一つの空間に放り込むと、いつの間にかその中で、それぞれの特長を尊重しながら、成長していくのが高校生なのだし、そこを描きたいのだというのが竹島さんの主張だったのです。
この作品は、原作に惚れ込んだ監督から依頼された一人のプロデューサーが7年間八女に移り住み、地元の人々に映画制作に協力してもらうという、もう一つのドラマが進行しました。製作費の協力のみならず、多くの地元ボランティアがスタッフやキャストとして映画に参加し、感動的で貴重な体験をしました。
さらりとした内容に見えますが、深い思いのこもった感動的な作品です。多くの人に見てもらいたいと思います。
  

シエマの日々 その121「招かれざる客」

2018年02月26日

 ユマニテ 伊豆 at 11:26  | タウンマネージャー日記



古い映画ファンなら必ず心に残っている名作のひとつではないでしょうか。
1967年のアメリカ映画。この頃のアメリカは公民権運動が盛んな時代で、マーティン・ルーサー・キング牧師が翌年の4月に暗殺される、そういう時代です。

リベラル派で売る新聞社社主の一人娘がハワイのバカンスから帰ってきます。傍らには、年長のハンサムな黒人男性が。男性は世界的に知られる医師で人格的にも申し分ない人物ですが、カラードです。新聞社社主として人種差別の撤廃に力を尽くし、プライベートにもそういう教育方針で娘を育て、望み通りに成長した娘ですが、いざ黒人と結婚するという現実に直面した時、社主は心の整理ができません。そして娘の母親、黒人青年の両親、それぞれの思い……。この頃は合衆国の10を超える州で異人種間の結婚が法律で禁止されているという時代です。

新聞社社主にスペンサー・トレイシー、妻役はキャサリン・ヘップバーン、黒人医師がシドニー・ポワチエ。息をのむ配役です。
スペンサー・トレイシーは心臓病を抱え、これが最後の作品となりました。籍こそ入れていないもののキャサリン・ヘップバーンは実質的に妻であり、映画ではふたりの間の情感があふれ出ています。スペンサー・トレーシーの最後の長セリフは言葉の一つ一つが練れており、舞台を見ているような感覚になります。
キャサリン・ヘップバーンはこの作品で主演女優賞を受賞。脚本のウィリアム・ローズはアカデミー賞脚本賞を受賞しています。

公民権運動のあの時代に一石を投じた練りに練った見事な脚本。そして当時の文字通りの名優たちの演技。
若い人たちにも見てもらいたい作品です。
  

シエマの日々 その120 「ゴンドラ」

2018年02月14日

 ユマニテ 伊豆 at 13:51  | タウンマネージャー日記



 まず、謝らなければなりません。
今回ご紹介する「ゴンドラ」は、皆さんに絶対に見て欲しい作品なのですが、明日2月16日(木)18時~が最終回です。ですから今日か明日の2日しかチャンスがありません。上映は先週の10日(土)からで、6日間だけでしたが、もっと早くご紹介すべきでした。
遅れてしまった理由の一つは、僕が2回観たからです。感じたものをちゃんと整理してから紹介すべきだと思ったからです。それほど心を掴まれた映画でした。

1986年に完成した映画ですが、劇場公開の壁に阻まれ、自主上映の道をたどります。海外で高い評価を受け、結局2年後の1988年4月にようやくロードショー公開になります。そして昨年2017年、30年ぶりのリバイバル公開となり全国を巡回しています。

大都会東京。母と二人暮らしの小学校5年生、周囲と打ち解けることができない孤独な少女かがりと青森の片田舎から上京し、ビルの窓拭きで生計を立てている純朴な青年の出会い。物語の前半は、孤独な少女の心象を丁寧に描き、後半は、青年が生まれ故郷に少女を連れて帰り、下北の自然と家族との触れ合いの中で少女の心が徐々に和らいでいくストーリー。

主演の少女を演じた上村佳子は、実際に、当時は「登校拒否」という言い方をされていた、引きこもりの小学生で、この子と知り合った伊藤監督がこの子を何とかしたいという気持ちが映画製作の原点になっています。撮影の数か月多くのスタッフと触れ合うなかで、彼女は明らかに変化していったと言います。前半と後半の表情の違いは、この子の実際の変化を映し出したもののようです。
カメラが素晴らしい。まだ都庁が建っていない頃の新宿。住友ビルの屋上からのカメラアングルはすごい。大都会の無機質さを見事に表現していますし、また青年と少女の下北の海岸線の“道行き”を高角度で捉えたシーンも見逃せません。物の接近撮影にも重要な意味があります。
セリフは極めて少ないですがひとつひとつが深い。少女のぶっきらぼうで直截な問いかけが突き刺さってきます。主役の2人の演技に加えて、周囲を固める俳優たちが見事に、しかも自然体に演じきっています。

今日か、明日しかありませんが、何とか時間を作ってこの珠玉の作品をごらんください。
  

シエマの日々 その119 「ギルバート・グレイプ」

2018年01月29日

 ユマニテ 伊豆 at 17:14  | タウンマネージャー日記



本年度の『午前十時の映画祭』もいよいよ終盤戦です。
少し邦画が続き、今年になってからは洋画の名作が目白押しです。
「アニー・ホール」「ペーパー・ムーン」、そして今上映中なのが、1月27日にスタートした「ギルバート・グレイプ」です。

1993年のアメリカ映画。僕の周辺にはすべての映画の中でこの作品がベストワン、と言った人が数人います。で、実は、不覚にも私としたことがこの作品を観ていませんでした。そんなわけで意気込んで初日にシエマに行ったのでした。

アイオワ州の眠ったような田舎町で、重い知的障害を持った弟と夫の死のショックから過食症になり、7年間トイレに行く以外は動かずに肥満してしまった母親の面倒を姉妹とみるだけで、自分自身の喜びも明日への希望もなく生きているだけの若者ギルバート(ジョニー・デップ)。ジョニー・デップは独特の表現をする俳優というイメージが僕の中にはありますが、この作品は、ジョニー・デップ自身がボーッと演じると決意していたらしいのですが、これが成功していて、見事にギルバーを演じきっています。

そして、知的障害者を演じたレオナルド・ディカプリオ。この年19歳。障害者を演じた映画といえば、「レインマン」のダスティン・ホフマンと「アイ・アム・サム」のショーン・ペンの二人に強烈な印象がありますが、ディカプリオ、すごいですね。圧倒的でした。この作品でディカプリオはアカデミー賞の助演男優賞にノミネートされました。

物語は、鬱々として暮らしていたギルバートの前に、キャンピングカーで祖母と全米各地を巡っている若い女性(ジュリエット・ルイス)が現れることで、何かが大きく変わり始め……ということですが、ジュリエット・ルイスが可愛いのですよ、魅力的なんです。この時20歳、ディカプリオは19歳、そしてデップは30歳。

「ギルバート・グレイプ」は、濃淡はありますが、登場人物一人一人の人生を丁寧に描いて、魅力あふれる名作ですが、その後大スターとなる若き日の俳優たちの、その後を予感させる才能が迸る記念碑的な映画だったというのが、見終わった後の一番の感想です。

「ギルバート・グレイプ」は、2月9日まで。上映は午前十時です。

  

シエマの日々 その118 「人生は、シネマティック」

2018年01月23日

 ユマニテ 伊豆 at 11:07  | タウンマネージャー日記


とても素敵な作品に出会いました。
2016年のイギリス映画「人生は、シネマティック」

舞台は1940年第2次世界大戦下のロンドン。

代役で書いたコピーが情報省映画局の目に留まり
戦意高揚映画を制作する脚本チームに参加する女性のお話です。
制作現場で、ベテラン男優の我儘、政府や軍の検閲や横やりなど次々に妨害が入り、そのたびに脚本変更を余儀なくされる中、主人公は周囲と協力しながら一つ一つ困難を乗り越え進んでいきます。
「人生は、シネマティック」というタイトルから想像できるように、映画制作現場が舞台のドラマですから、現場の臨場感と内幕は映画ファンならずとも興味津々でしょう。

女性の社会進出のひとつの典型や愛の挫折、新たな出会いと突然の別れ。様々な要素がないまぜになって観るものを飽きさせません。しかもイギリス映画らしい淡々と抑制の効いたトーンにより、さらに味わいを深めています。
脚本チームが取り上げた題材は、ドイツ軍の包囲から連合軍を民間の大船団が救出した有名な史実「ダンケルク」。この船団に参加した貧しい姉妹が主人公です。

「ダンケルク」といえば、クリストファー・ノーラン監督の2017年のアメリカ映画「ダンケルク」を昨年見たばかりで、なんだかぐっと親近感が湧いてきました。
原題は「Their Finest」。.「人生は、シネマティック」というタイトルは、狙いが分からないではないですが、なんだんか残念。

今週26日(金)まで。上映は18:35~です。ぜひご覧ください。
  

ご無沙汰でした。ウン年ぶりに、「シエマの日々」ブログアップ!

2018年01月10日

 ユマニテ 伊豆 at 10:21  | タウンマネージャー日記


 
ご無沙汰しています。ウン年ぶりにアップします。
 映画は観続けていて、昨年はシアターシエマだけで100本以上の映画を観ました。シエマは昨年12月創業10周年を迎え、記念イベントとして、「10年間の私のべスト3」を募集したところ、集計の結果「世界の片隅で」がベストワンになりました。「世界の片隅で」はほんといい映画でした。
 で、新年度のシエマですが、ラインナップがすごい!どれもこれも面白い。

「ゲット・アウト」は、ぞくっとするホラー映画です。 映画を観終わってシエマのスタッフに、「怖かった」と思わず言ってしまいました。



「はじまりの街」は父親のDVから逃れた母と息子が、トリノという新しい街で周囲の人々に支えられながら少しづつ馴染んでいく姿を温かい眼差しで描いた素敵な映画です。



「婚約者の友人」はフランス映画らしい文学的なトーンが全編を貫く作品で、モノクロとカラーを巧みに使って観るものを物語の中に引き込んでいきます。


「午前10時の映画祭」は今秋は「アニーホール」。来週からは「ペーパー・ムーン」です。見逃せませんね。
 というわけで、今年は「シエマの日々」を再開します。以前よりも丁寧に紹介していきたいと思っています。
 どうぞ、よろしくお願いします。  

シエマの日々 その116 「恋人たち」

2015年12月02日

 ユマニテ 伊豆 at 16:58  | タウンマネージャー日記


今日は、「恋人たち」をご紹介します。
「ぐるりのこと」から7年。橋口亮輔の脚本・監督作品。

橋口監督が本作に対する思いをこんな言葉で綴っています。

 飲みこめない想いを 飲みこみながら生きている人が、
 この日本にどれだけいるのだろう。
 今の日本が抱えていること、
 そして“人間の感情”を
 ちゃんと描きたい。

通り魔事件で妻を失った男。 
鬱屈した日々にふと現れた男に揺れ動く主婦。
同性愛者の弁護士。

この3人主人公の絶望と再生への光を描いた作品。
「ぐるりのこと」でも見せた橋口監督の、人間への優しいまなざしが
繊細な演出を通してスーっと伝わってきて、
観終わったあとに、人間をたまらなく愛おしく感じてしまいます。

今年、絶対に見逃せない一本です。





  

シエマの日々 その115「ヴィンセントが教えてくれたこと」

2015年11月30日

 ユマニテ 伊豆 at 14:28  | タウンマネージャー日記


前回のブログが6月29日でしたので、ほんとに久しぶりの投稿です。
今年シエマで観た映画は今日現在で54本。まだひと月ありますので、多分60本は超えるでしょう。
それはともかく。

本日ご紹介するのは「ヴィンセントが教えてくれたこと」。原題は「ST.VINCEN」
“聖ヴィンセント”です。チラシには、北米でたった4館から始まったにも関わらず、
4週間後に2500館に拡大、最終的には4400万ドルの売上!と書いてあります。

ヴィンセントというひねくれものの不良ジイさんと隣に引っ越してきたオリバーという少年の
触れ合いを描いた物語です。
独居老人、シングルマザー、移民等々の社会問題を下敷きにしていますが、
それがサラッと描かれていて、ストーリーに奥行きを与えています。

ヴィンセントを演じているのは、あーら懐かしや、ゴーストバスターでピーター博士を演じていた
ビル・マーレイではありませんか。すっかり味わいのあるジジイになっていまして、実際はまだ65歳なので
フケメイクしたのだと推測します。

他人から嫌われ、本人自身も人間嫌いのひねくれモノのヴィンセントの、その本質を、
様々な時間の共有の中でオリバー少年は見抜いていきます。

学校から与えられた課題、「あなたの聖人」で、オリバー少年が選んだのはヴィンセント。
オリバーの素晴らしいスピーチは、観る者の心を温かくしてくれます。

理屈抜き。分かりやすくて、ホンワカした気持ちにさせてくれる一本です。ぜひどうぞ。

  

シエマの日々 その114 「グッド・ライ~いちばん優しい嘘~」

2015年06月29日

 ユマニテ 伊豆 at 11:18  | タウンマネージャー日記


いい映画だったな、と素直に感動できる作品に出会いました。

ストーリーは。

1983年に起きたスーダンの内戦で、両親を殺害され孤児になった

兄弟(血のつながりはなくとも、村では兄弟なのです)が、

2000年に始まった合衆国の移民受入により、難民キャンプから救い出されます。

行先はカンザスシティ。アフリカの草原で育ち、電話も知らない、もちろんマクドナルドも

知らない若者たちが戸惑いながらも、少しずつ生活に慣れていきます。

しかし彼らは心に深い傷を負っています・・・・。


主役はカンザスシティの職業紹介所で働くキャリーを演じるリース・ウィザースプーンです。

初めはいやいやながらスーダンの若者の世話をしている彼女の心に

大きな変化が生まれていきますが、演技が自然で、やはり達者な女優だなと思わせられます。

監督は、フィリップ・ファラルドー。2011年の「ぼくたちのムッシュ・ラザール」で

アルジェリアからモントリオールへ移民した教師を描いた作品で、アカデミー賞にも

ノミネイトされました。私にも忘れられない強い印象の一本です。

笑えるシーンもたくさんなりますが、ぐっとこみ上げてきて最後は大泣きしてしまいました。

ぜひ、ご覧ください。
  

シエマの日々 その113 「繕い裁つ人」

2015年04月27日

 ユマニテ 伊豆 at 12:06  | タウンマネージャー日記


ああ、なんて久しぶりでしょうか。
また、ブログ復活させてください。映画は見続けています。
けっこう最近は邦画を観ることが多くなりました。
この映画は神戸を舞台にした「仕立て屋さん」のお話です。
私の所属しているユマニテさがが主催している「楠の杜手づくり市」で
シエマの重松支配人が懇親会の席に現れて、
手作り作家の皆さんにぜひ見てもらいたいと、わざわざ紹介してくれた作品。

祖母の仕立てた服の仕立て直しとサイズ直しだけを丁寧に丁寧にしている
女性のお話で・・・・、もちろんドラマチックな展開があります。

私の亡母がずーと洋裁をしていたので、胸に迫るものがありました。

私の個人的なことはさておいて、
手仕事というものを、もういちど噛みしめる
何だか心がほんわかするいい映画だと思います。
  

シエマの日々 その112「リスボンに誘われて」

2014年11月06日

 ユマニテ 伊豆 at 16:32  | タウンマネージャー日記


長い間アップしてないとは思っていましたが、前回が8月12日だったとは。

3カ月のご無沙汰でした。いやいや映画は観てはいるのです。

今回ご紹介するのは、2013年のドイツ、スイス、ポルトガル制作の映画です。

スイスで古典文献学を教えている教師が、欄干から身を投げようとしている若い女性を

助けるところから物語は始まります。助けられはしたもののすぐに姿を消した女性が残した

一冊の本と本に挟まっていたリスボン行きのチケット。

男は衝動的にリスボン行きの列車に飛び乗ってしまいます。

・・・・・・・。

単調な人生に飽き飽きしていた一人の中年男性が、一冊の本に魅了され、

作者の人生を探索することによりある変化が・・・・。

この映画は、全国的にかなりヒットしており、シエマでもたくさんのお客様が見えています。

あの時にああすれば良かったと人は人生を振り返りがちですが、実はターニングポイントはこの先に。

この映画のテーマがそのあたりにあるようで、そこが観客を惹き付けているのかも。

  

シエマの日々 その111「夢は牛のお医者さん」

2014年08月12日

 ユマニテ 伊豆 at 17:24  | タウンマネージャー日記


111回目の本ブログですが、

今回の「夢は牛のお医者さん」は、みんなに見てもらいたいな、と素直に薦めたい作品です。

新潟放送が、20年以上に亘り一人の女性の成長を追ったドキュメンタリー。

この女性が小学校3年の時に、村の小学校に入学してきた(?)3頭の牛。

この牛の世話をする体験が、この子の一生を決めます。

そんなに劇的なシーンがある訳でもないこの映画は、

ひたむきに努力することの尊さや

仕事の意味などを、淡々と、しかし強くまっすぐに伝えてきます。

ひとりで観るも良し、家族でご覧になるとさらに良し、の一本です。
  

シエマの日々 その110 「チョコレートドーナツ」「あなたを抱きしめる日まで」

2014年07月14日

 ユマニテ 伊豆 at 17:18  | タウンマネージャー日記


たまたま、なのか、シエマの重松支配人が意図的に選ばれたのか、

続けてホモ・セクシャルに絡む作品を2本観ました。

一本目は「チョコレートドーナツ」。1970年代のアメリカが舞台です。

今でこそゲイは多少市民権を得たように見えますが、1970年代という時代はとても

ゲイのカップルを世間が認めるという風潮はなく、

その時代の価値観が、薬物依存症の母親が逮捕されて施設に入れられそうになった

ダウン症の少年を引きとろうとするゲイのカップと少年を追い詰めていきます。

主役のルディというゲイのシンガーを演じたアラン・カミングの演技はスゴイですし、

恋人の弁護士ポールを演じたギャレット・ディラハントもいい味出していますが、

何と言ってもダウン症の少年役のアイザック・レイヴァの存在感は圧倒的です。

いちばん大切であるはずの少年の幸せを時の価値観が収奪していく・・・・・・。

考えさせられる一本です。



もう一本は、実話に基づいた作品です。

こちらはアイルランドが舞台。

十代に未婚で男の子を出産した少女が家を追い出され修道院へ。

そこで子どもと一緒に生活しますが、3歳になったある日、子どもは修道院の

考えで、どこかに連れ去られます。

その子も今年で50歳になるはず。

一日とて子どもの事を思い出さない日はない。

もう老婆と言ってよい年になったかつての少女は、

落ち目のジャーナリストの協力を得て、息子探しの旅に出ます。

さて・・・・・・。

老婆を演じているのは007シリーズでジェームス・ボンドの上司Mを演じていたジュディ・デンチ。

敬虔な田舎のばあさん役が見事です。

子どもを思い続ける母親の心情に胸が震えます。

この作品も絶対に見逃せない心に沁みる一本です。

2本ともぜひご覧ください。損はさせませんよ。




  

シエマの日々 その109「そこのみにて光輝く」

2014年06月23日

 ユマニテ 伊豆 at 17:38  | タウンマネージャー日記


「そこのみにて光輝く」。
20年前に佐藤泰志という作家が書いた長編小説の映画化です。
同じ佐藤泰志の「海炭市叙景」も数年前に映画化され、話題になりました。
佐藤泰志は何度も芥川賞の候補になりながらついに受賞に至らず、
最後は41歳で自殺してしまった作家だと、資料を読んで知りました。

なぜ、いま佐藤泰志か。
今の時代の空虚感や鬱屈感が当時と重なるからだと分析していた人がいましたが、
なんだか納得しました。
重たい内容の映画ですが、一人の女をとことん愛することで、人生を少しずつ切り拓いていく
若者の姿はズシリときます。
綾野剛、池脇千鶴、菅将暉と、旬の俳優陣がいい演技を見せてくれます。
手ごたえのある映画を観たい人にお勧めです。  

シエマの日々 その108 「まちや紳士録」

2014年06月10日

 ユマニテ 伊豆 at 11:58  | タウンマネージャー日記



108回目になる本ブログで、初めて(シエマでの)未公開作品を紹介します。
お隣福岡県八女市の、約100軒の町家が集積した福島地区の、人々の暮らしと
町屋再生に取組む人々の姿を1年に亘って記録したドキュメンタリーです。

先日、プロデューサーと監督がお見えになり、すこしお話することができました。
そこで、無理に頼み込んで上映前の作品を観させていただきました。

都市化・近代化に一直線に進んだ戦後ニッポンの在り方を、地域から問い詰めた作品。

古い建物を保存するのか、解体するのかという問題は議論のあるところですが、
理屈抜きに見入ってしまうのは、大工さんや左官さんや瓦職人の技です。
古いものが特別に好きということはありませんが、
こうした技術は、継承されなければならない、と思います。

それにしても、街を愛し、街の再生に関わっている人々の真摯な姿勢は胸を打つものがあります。
まちづくりに関わる者として、襟を正さなければという気持ちになりました。

堅い話は、それとして、聞きなれたチッゴ弁のやりとりが映画をとても身近なものにしてくれました。
こまかいニュアンスが分かりますもんね。

6月14日(土)から上映です。
15日には伊藤有紀監督の舞台挨拶と音楽担当の原みどりさんのライブもあります。


  

シエマの日々 その107「ある精肉店のはなし」

2014年06月02日

 ユマニテ 伊豆 at 09:59  | タウンマネージャー日記



観たい観たいと思っていた映画をやっと観ることができました。
大阪の貝塚市で、7代に亘り飼育、屠畜、解体、精肉、販売の仕事をしている家族の物語。
大切に育ててきた牛を割るシーンなどがそのまま出てきたり、
解体のシーンも最初から最後まで映し出されていたり、
衝撃的なドキュメントではありますが、仕事に取り組む人々の温もりが
こちらに伝わってきて、やさしい気持ちにしてくれる映画です。
命とは。家族とは。地域で生きるとは。
色んなことを考えさせてくれる、とても良質の映画だと思います。

今週6月6日までです。ぜひご覧ください。
観終わったあと、ぼくは肉を食べたくなりました。  

シエマの日々 その106「鉄くず拾いの物語」

2014年04月14日

 ユマニテ 伊豆 at 12:28  | タウンマネージャー日記


たくさんあるシエマの魅力のうち、僕の一番は、知らない国の映画が観られることです。

今上映中の「鉄くず拾いの物語」は、ボスニア・ヘルツェゴヴィナの、しかもロマ(ジプシー)の家族の物語です。

3人目の子どもを流産した母親が手術をしないと命が危ないという状況に追い込まれますが、

貧乏でしかも保険証も持っていないことから、病院で手術を断られてしまいます・・・・・・。

鉄くず拾いで辛うじてその日の生活費を稼いでいる夫が、

苦悩のなかむしろ淡々と事態を突破しようと奮闘します。

登場している夫婦は、本当にあったこの事件の当事者です。

ほとんどドキュメンタリーのような映画ですが、夫婦の愛情が、ほんとうに感動的に伝わってきます。

このブログを読んだ方、絶対観てください。